ライセンスからみたOSSの商業出版の話。
ふと思ったんですが、OSSや無料サービスの解説本を「商業出版」でだして、利益を還元しないのって、他人の褌で相撲を取るようなすごくマナーの悪い行為じゃないですか??
— Masahiko Sakakibara (@rdlabo) May 25, 2018
還元の仕方が、金銭なのか、プルリクなんのかはともかく、商業利用してて「広めるのが貢献だ」はどうなんだろう。
本日このようなツイートをしまして、多くの反響ありがとうございます。いろいろなご意見いただきまして、参考にしたり、改めて調べなおしたりしたのですが、私は完全に思い違いをしていました。貢献やマナーの問題ではなく、どちらにしてもプロダクト元に許可とろうというだけの話でした。
こちらが一番参考になるなーと思いました。
「OSSであること」自体は何のライセンスでもなく、例えばWordPressではGPLライセンスを採用しております。まぁ、他にもGNPなどありますが、「ソフトウェアの再利用や改変などの許可ライセンス」なわけです。ですので、GPL/GNPにはソフトウェア名やロゴなどは含まれていません。
ですので、WordPressは「GPLライセンスであることと、商標をとること」の両立をしておりまして、WordPressという商標を利用することには一定の制限がかかっております(商業出版も該当します)。つまり、OSSであること = その名前を自由に使っていいということではないんですね。PHPフレームワークのCodeIgniterもそうですし、商標とってるOSSもあって、ある程度コントロールしようとしているようです(WordPressの場合は商品名にWordPressという名前をつかうのには許可が必要)
追記:知人の「OSS名もロゴもソースコードじゃない」という発言がわかりやすかったです
で、そうである以上、「出版していいし許可求めないよ」と明記しているOSS以外は許可をとった方が無難です。貢献してるか、利益還元は、みたいな私が最初考えた話や、「広告になるからいいじゃん」は、どうせ連絡とるならOSS開発元と著者とで話すべき内容であって、第三者があーやこーやいう話ではなかったです。申し訳ございませんでした(何名かに指摘いただきました)
「あいつら日本では商標とってないから、勝手にプロダクト名使おうぜ!」「いやいや宣伝になるから他人のプロダクト名は勝手に使っていいじゃん」とかそういうのは置いとくとして、商業出版の書籍名に当該プロダクト名を採用する書籍を発行しようとしている著者は(まず断られないと思うので)連絡とってみてはいかがでしょうか。
それでは、また。
追記
- 判例を確認したところ、当該商標とってる相手に、裁判されて相手が勝つということはなさそうです。スクエア・エニックスが商標を理由に出版差止めを求めた例 は負けてそうでしたし(おそらく和解)、実際に商標を持ってて訴訟した側が負けてるPOS事件 もあります。ですので商標 = 出版許可が国内法で必要、ではありませんでした。
- WordPress Foundationは「商標も持ちつつ、WordPressという名称の用途に別に規則をつくっている」状態のようです。WordPress の名称を書籍やサービスに使用する際の注意点 | Techlogue では明確に承諾が必要と書いていますが、念の為「その規則に出版物も該当するか」はFoundationに問い合わせしております。
- 「規則でだめと書かれても法にひっかからないから」は・・・。
/追記